「お盆は祝日じゃないの？」──毎年8月になると、こうした疑問を抱く人は少なくありません。
しかし実際には、お盆は国民の祝日ではなく、法律的に定められた休日でもないという事実があります。
にもかかわらず多くの企業が休業し、帰省ラッシュが発生するのは、日本の文化・習慣と深く結びついているからです。
この記事では、お盆と国民の祝日の違いをわかりやすく整理し、「お盆休みは法律で決まっているの？」「銀行は休む？」「地域差はある？」といった疑問をまとめて紹介します。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
お盆と祝日の基本
お盆とは？日本における意味と風習
お盆は、先祖の霊が一年に一度この世に戻ってくると考えられている、日本の伝統的な行事です。
仏教の盂蘭盆会（うらぼんえ）がルーツですが、日本独自の祖先崇拝の文化と融合し、現在のような形になりました。
家族が集まり、墓参りや精霊馬（きゅうり馬）を飾る、迎え火・送り火を焚くといった風習が今も受け継がれており、「家族が帰省して先祖を供養する期間」という意味を持ちます。
祝日とは？国民の祝日一覧とその制定
祝日は、「国民の祝日に関する法律（祝日法）」によって制定された、国が定める休日を指します。
例えば、元日・建国記念の日・憲法記念日・敬老の日など、「国民こぞって祝い、感謝し、思う日」と法律で明記されています。
祝日は、原則すべての国民に平等に与えられる休日として統一的に扱われ、毎年決められた日付に実施されます。
お盆と祝日の違いを簡潔に
- お盆：宗教・文化行事。法律で休みは定められていない
- 祝日：国が法律で定めた休日。誰でも同じ日に休み
- お盆休み：企業や学校の“慣習”としての休暇（法的義務なし）
つまり、お盆そのものには「国民の祝日」という扱いはありません。
お盆の期間と営業の影響
お盆の時期：旧暦と新暦の違い
本来のお盆は旧暦7月15日前後でしたが、新暦へ移行した後、地域によって時期が変わりました。
| 7月盆（東京）は7月13〜16日
8月盆（全国の多く）は8月13〜16日 |
旧暦と新暦のズレが理由で、いまも地域によって2つの時期が存在します。
そのため「東京だけ7月に盆踊りが終わっている」現象が起きるわけです。
お盆期間中の銀行や交通機関の営業状況
銀行は祝日法に従うため、お盆だからといって休業することはありません。
一方で、大手企業や工場、行政関連施設では長期休暇を設定するケースが多く、結果として社会全体の動きが鈍くなる時期でもあります。
交通機関は特に影響が大きく、
- 高速道路の渋滞
- 新幹線の満席
- 飛行機の繁忙期料金
などが毎年発生します。
「お盆＝帰省ラッシュ」のイメージは、文化的要因が大きいのです。
お盆休みに関する法律と制度
国民の祝日に関する法律のポイント
祝日法は、国民が祝意をもって休むために定められたもので、
・祝日そのもの
・振替休日
・国民の休日
などのルールを定めています。
しかし、お盆に関する記述は存在しません。
お盆休みの取得と企業の対応
お盆休みは法定休暇ではないため、企業ごとに対応が異なります。
- 製造業・大企業 → 工場停止に合わせ長期休暇
- 中小企業 → 3〜4日の連休
- サービス業 → むしろ繁忙期で休めない
あくまでも企業の就業規則に基づくものであり、「お盆だから休ませなければならない」という法的義務はありません。
月遅れの特別な休日とその意義
旧暦の都合で7月盆を採用していた地域が、新暦によって時期がずれたため、
多くの地域では「月遅れのお盆（8月15日）」を採用するようになりました。
夏休みと重なるため、地域行事や帰省などの合理性も高まり、結果として全国的に8月盆が定着しました。
お盆休みは必ず取得しなければならない？
結論はNO。
ただし、企業が就業規則で休暇を定めている場合は従う必要があります。
個人の権利ではなく、会社側の制度としての休日です。
お盆と祝日が重なる場合の注意点
お盆期間中に祝日がある場合（例：山の日・8月11日）は注意が必要です。
- 祝日は必ず休み
- お盆休みと重なると、実質連休が延びる
ただし、振替休日は祝日が日曜日と重なった場合のみ
「山の日＋お盆休み」で9連休になるケースも珍しくありません。
お盆と祝日の地域差
地域ごとのお盆の風習と行事
お盆は地域ごとに風習が大きく異なります。
例えば、
- 京都の大文字焼き（五山送り火）
- 徳島の阿波踊り
- 東北の精霊流しや灯籠流し
- 長崎の爆竹の鳴る精霊流し
同じ“先祖供養”を目的としつつも、行事の規模・雰囲気が地域により大きく違うのが特徴です。
東京と他地域のお盆の特性
東京は7月盆が主流で、7月13〜16日の期間に行事が集中します。
これは江戸時代に、寺院が旧暦に合わせた日程でお盆供養を行ってきた歴史が影響しています。
一方、多くの地方では8月15日前後が中心で、
「夏＝帰省＝お盆」という形がより明確に残っています。
お盆の人気アクティビティと連休の過ごし方
盆休みを利用した9連休の計画
山の日と重なる年には、
8月10日（土）〜8月18日（日）
といった大型連休が取りやすくなります。
旅行や帰省の計画は早期に立てることで、
航空券や宿泊費の高騰を避けられるメリットがあります。
家族で楽しむ、供養やイベントの紹介
お盆は単なる“休暇”ではなく、家族で先祖に感謝し、ゆっくり過ごす期間でもあります。
- 墓参り
- 仏壇の掃除
- 盆踊りへの参加
- 地域の花火大会
- 子どもと一緒に郷土文化体験
- 帰省先でのアクティビティ（川遊び・農業体験など）
「帰省＋イベント」で家族の思い出が作りやすい時期です。
まとめ
お盆と祝日は、似ているようで全く違う性質を持っています。
- お盆は宗教・文化行事
- 祝日は国が法律で定める休日
- お盆休みは企業の就業規則による“慣習的な休み”
- 地域差が大きく、行事や日程も異なる
- 山の日と重なる年は大型連休になりやすい
法律だけでは語れない「日本の文化」が強く反映されているのが、お盆という行事の魅力ですね。
