自然の風景や植物、静寂な森のイメージを表現するときに欠かせない「深緑色(ふかみどり)」。
落ち着きと奥行きを与えるこの色は、絵に深みを持たせるために多くのアーティストに愛用されています。
しかし、市販の絵の具セットには深緑色が含まれていないことも多く、どう作ればいいの?と悩む方もいるはずです。
この記事では、初心者でも簡単にできる「深緑色の作り方」を、使う絵の具の種類や比率、混色のコツまでわかりやすく紹介します。
自分だけの深緑色を自由に作れるようになれば、絵の表現の幅もぐっと広がります!
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
初心者でも簡単!深緑色を作る方法
深緑色に必要な色の一覧
深緑色を作るために必要な基本の色は以下の通りです。
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青(ウルトラマリンやフタロブルー)
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黄色(レモンイエローやカドミウムイエロー)
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黒(少量で深みを出す)
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茶色(シェンナ系で落ち着きをプラス)
これらの色をうまく組み合わせることで、理想的な深緑色が完成します。
深緑色の作り方:混色の基本
深緑は、基本的に「青+黄色」で作られる緑をベースに、黒や茶色を加えて暗さ・深さを調整します。
緑を作る基本の混色を覚えておきましょう。
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青多め ⇒ 冷たい緑
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黄多め ⇒ 明るく元気な緑
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黒や茶を加える ⇒ 深く落ち着いた緑(深緑)
深緑色の比率を考える
目安として、次のような比率からスタートするのがおすすめです。
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青:黄 = 2:1
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作った緑に 黒や茶を 5〜10% 程度加える
ここから微調整して、イメージに近い色に仕上げましょう。
水彩と絵の具での違い
水彩絵の具の場合、水で薄めることで透明感や柔らかさが加わります。
アクリルやガッシュでは不透明感が強く、色の沈みが目立ちます。
水彩の方が微調整しやすく初心者向きです。
深緑色を作るための基本的なレシピ
深緑色の基本レシピ
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青(ウルトラマリン)をパレットに出す
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黄色(レモンイエロー)を1/2の量加える
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よく混ぜて緑を作る
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黒(少量)または茶色をほんの少し加える
これで「深みのある緑=深緑色」の完成です。
色鉛筆でもできる深緑色の作り方
色鉛筆の場合も、次のようにレイヤーを重ねて作れます。
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明るめの緑を塗る
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青系を重ねて暗くする
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最後にこげ茶や黒で陰影を加える
筆圧や重ねる順番で色が変化するので、試行錯誤が大切です。
透明水彩を使った深緑色の作り方
透明水彩なら、下記の順番がおすすめ。
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明るい緑(青+黄)をまず塗る
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乾いたあとに、薄い黒や茶で重ね塗り
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水の量を調整しながらグラデーションをつける
にじみを活かせば、自然で深い緑が表現できます。
深緑色を作るための色の比率
黄緑と青の比率
黄緑をベースに青を足していくことで、落ち着いたトーンになります。
青を入れる量によって「深さ」が変わるので、少しずつ足すのがコツです。
茶色を使った深緑色の作り方
茶色(バーントシェンナなど)を加えると、温かみのある深緑になります。
自然の葉や土の色に近づくので、風景画に向いています。
黒色と黄色を使った深緑色の作り方
意外かもしれませんが、黒と黄色だけでも深緑風の色が作れます。
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黄色に黒をほんの少し加えると、オリーブ系の深緑に。
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くすんだ色が欲しいときに有効なテクニックです。
深緑色の応用
自然な深緑色を作る方法
自然界の深緑色は、単色ではありません。グレーがかっていたり、褪せていたりします。
わずかに白やグレーを足すことで、リアルな質感が出せます。
モスグリーンとの違い
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深緑色:濃く、青みが強い傾向
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モスグリーン:くすんだ灰緑、黄色みや茶色を含む
使い分けで絵の印象が大きく変わります。
深緑色の混色テクニック
深緑色は単に「緑を暗くする」だけではなく、混色の工夫次第で印象が大きく変わる色です。
深緑を美しく仕上げる混色テクニックを紹介します。
オレンジや赤色を使った深緑色
■ 補色を使って彩度を落とす方法
色には「補色」と呼ばれる関係があり、「緑の補色は赤(またはオレンジ)」です。
これをうまく使うと、彩度(鮮やかさ)を落として、より自然で落ち着いた深緑になります。
● 使い方のポイント
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緑や深緑を作った後、ほんの少し赤やオレンジを混ぜる
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赤みが強すぎると茶色になるので、筆先1滴レベルで慎重に
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木の葉や森の影、濡れた苔などの表現に最適
白色を加えて彩度や明度を調整する方法
■ 白=色のコントローラー
白を加えると色の明度(明るさ)が上がりますが、それだけでなく彩度を落として柔らかく見せる効果もあります。
深緑に白を少量混ぜれば、翡翠色やくすみグリーンのような色にも応用できます。
● 使い方のポイント
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不透明水彩(ガッシュ)やアクリルなら混ぜる
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透明水彩なら紙に水を多めに塗って薄める
● 例
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森の奥の霧がかった木々
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ファンタジー系の背景にある優しい深緑
絵の具のセットで簡単に作る方法
■ 市販のセットだけでも十分
12色~24色セットの絵の具でも、深緑はしっかり作れます。
すでに緑色が含まれている場合は、そこに調整色を加えるだけでOKです。
● よくある組み合わせ
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既存の緑+青+黒:青みの強い深緑(クール系)
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既存の緑+茶色または赤紫:土っぽく落ち着いた深緑
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緑+白+黒:モスグリーン寄りの深緑
● コツ
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「緑系の色」1色をベースにし、色相・彩度・明度の3方向から調整する
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青で冷たくする → 黒で暗くする → 白で和らげる → 赤で彩度を下げる
色の重ね塗りで深緑を作る(水彩限定)
■ 一度に混ぜず、重ねて深みを出す
混色だけでなく、色を「重ね塗り」することで深緑を演出する方法もあります。
これは特に透明水彩で効果的なテクニックです。
● ステップ例
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薄めの緑を塗る(青+黄)
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乾かしてから、上から薄い青や黒を重ねる
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さらに影部分に茶色や赤系を軽く重ねる
この方法を使うと、絵の中で自然にグラデーションが生まれ、深緑の奥行きが出ます。
色のイメージに合わせた混色選び
深緑といっても、描きたいモチーフによって色の「ニュアンス」は変えるべきです。
表現したいモチーフ | 推奨混色テクニック |
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森の木陰 | 緑+青+黒+少量の赤または茶色 |
苔や湿った地面 | 緑+茶+グレー系 |
冬の針葉樹 | 緑+青+白+黒 |
和風の渋い背景 | 緑+茶+オレンジ少量 |
まとめ
深緑色は「青+黄+黒や茶」の基本から生まれる、奥深い色です。
比率や使用する色の種類でさまざまなバリエーションが楽しめます。
特に初心者の方は、水彩で少しずつ混色を試して、自分だけの「理想の深緑」を見つけてみてくださいね。
絵に深みを出したいとき、静かな雰囲気を演出したいとき、ぜひこの方法を活用して、素敵な深緑を描いてみてください。
この記事が、作品作りの参考になりましたら幸いです。