【年末の餅つき】ダメな日？苦餅や一夜飾りについて詳しく紹介します！

年末になると、日本各地で「餅つき」が行われます。
しかし、伝統行事であるがゆえに、「やってはいけない日」「避けるべき風習」も数多く存在することをご存じでしょうか？
たとえば12月29日は「苦餅」、12月31日は「一夜飾り」と呼ばれ、昔から忌避されてきた日です。
なぜそう言われるようになったのか？
この記事ではその歴史的背景・民俗的意味、現代の家庭でも実践できる形で詳しく紹介します。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。

年末の餅つきとその歴史

餅つきとは？その意味と由来

餅つきとは、年神様への供物としての餅を家族で作る神事です。
単なる調理作業ではなく、神聖な儀式とされてきました。
餅には「力」や「霊」が宿るとされ、正月に餅を食べることは、「神様の力を分けてもらう行為」でもあるのです。

また、餅をつく「つく」という動作には「福を呼ぶ」「繁栄を重ねる」といった意味も込められており、日本人の精神文化の核心に位置する行事でもあります。

日本における餅つきの歴史

奈良時代の『続日本紀』にも、天皇が年末に餅を供える記述が見られ、餅つきの起源は1000年以上も前に遡ります。
平安時代には宮中行事として定着し、鎌倉・室町を経て、江戸時代に庶民へと広がりました。
特に江戸中期以降、「歳末に餅をつくこと」は各家の年中行事として定着。
武家・町人問わず行われるようになりました。

餅つきが年末に行われる理由

最大の理由は、正月に年神様を迎える準備として、神様に供える「鏡餅」を年末に用意する必要があるからです。
年神様は五穀豊穣や家内安全を司る存在。
餅はその依り代（よりしろ）であり、しっかりと「清らかな心」と「整った環境」で用意する必要があります。

また、正月に餅を食べることで「一年を無事に乗り切る力を得る」とも考えられてきました。

餅つきの文化と家庭の役割

かつては三世代が同居する家庭が多く、餅つきは世代を超えて行う家族儀礼でした。
祖父母が蒸す、父母がつく、子どもが丸めるといった分業が自然に行われ、家族の連携と伝統の継承を象徴する行事でもありました。

現在では電動餅つき機を使う家庭が主流になりつつありますが、「餅つき＝年末の心を整える時間」として、精神的な意味合いは今なお色あせていません。

年末の餅つき：いつやるべきか

年末の餅つきダメな日は？

年末に避けるべき餅つき日は以下の通りです。

12月29日（金）：「九（苦）餅」と呼ばれ、「苦を背負う」年になるとされ、忌避されます。
12月31日（日）：一夜飾りにあたり、神様への準備を前日にするのは「にわか仕込み」とされ失礼。

とくに旧家や神事を大切にする家庭では、「29日に餅をついた家には福が入らぬ」とまで言われる地域もあります。

餅つきに適した日にちとは？

最も理想的なのは12月28日（土）。
末広がりの「八」は縁起が良く、年神様にとっても歓迎される日です。
加えて以下の日も適しています。

12月26日（木）
12月27日（金）

日柄も確認しておくとより万全です。

29日と27日、どちらが縁起が良い？

この2日で迷った場合、断然27日がおすすめです。
29日は前述のとおり「苦」に通じ、関西や北陸では特に嫌う家庭が多いです。
一方で27日は「風呂焚き」「台所掃除」といった家の清めが終わる頃で、「年末準備の締め」としてもちょうどよい時期です。

年始を盛り上げる餅つきイベント

餅つきとお雑煮の関係

雑煮の起源は「神饌（しんせん）」、つまり神様に捧げた食材を家族で分かち合う食事です。
餅は神様の霊が宿った特別な食材であり、正月に雑煮を食べることは、神様の力を体に取り込むことを意味しています。

地方によっては「丸餅・角餅」「焼く・煮る」など大きな違いがあり、それぞれに由来があります。

家庭でできる餅つきの準備

準備段階で重要なのは以下の3点です。

もち米の質：新米の「こがねもち」「ヒメノモチ」など、粘りと香りが強い品種を選びましょう。
浸水時間：もち米は6〜8時間以上浸すことで、蒸し上がりが均一になります。
道具の手入れ：臼や杵はカビがつきやすいため、使用前に必ず湯通しや酒で清める風習があります。

子どもたちも楽しめる餅つき体験

現代の子どもたちにとって、餅つきは非日常の体験です。
安全を確保したうえで、「見て・触れて・食べて学ぶ」体験型イベントとして大変有意義。
地元の伝承遊び（羽根つきやかるた）とセットで行えば、学びの幅も広がります。

一夜飾りの文化とその意味

一夜飾りとは何か？

「一夜飾り」とは、12月31日に門松やしめ縄などの正月飾りを一晩だけ飾ることです。
見た目には間に合っているように見えますが、これは「年神様に対する失礼な行い」とされ、古来から嫌われてきました。

なぜ一夜飾りはダメなのか？

神様は人間の準備の誠意を見ています。
31日に飾りつけを行うのは、「死者を弔う通夜」と重なることからも縁起が悪く、「急ごしらえの誠意なき迎え方」と受け取られてしまいます。

一夜飾りと年神の関係

年神様は、大晦日の夜から元旦の朝にかけて家々に降臨すると言われています。
したがって、12月30日までには餅・門松・しめ縄を整え、清めを済ませておくことが望ましいのです。

餅つきの準備と注意点

餅つきのための道具や材料の選び方

道具	目的	選び方のポイント
臼（うす）	もち米をつく	木製なら樫（かし）が理想、熱が逃げにくい
杵（きね）	つぶす・練る	重すぎると疲労が早い。大人用・子供用を用意すると◎
蒸し器	もち米を蒸す	セイロがベスト。代用するなら炊飯器の「おこわモード」
のし板	餅を冷ます・切る	クッキングシートで代用可能。打ち粉を忘れずに