ビジネスシーンにおいて、年賀状を送ることは日本の習慣です。
お世話になっている取引先や同僚に新年の挨拶として年賀状を送ることは、相手との関係を維持するうえでも非常に大切です。しかし、喪中のときはこの年賀状の送り方が問題となることがあります。
通常、年賀状は新年を祝うための挨拶状ですので、身近な人が亡くなり喪中に入った際には、年賀状を送ることが適切ではなくなる場合があります。
この記事では、会社として年賀状をどう取り扱うべきか、また喪中の際のビジネスマナーについて詳しく解説します。
喪中とは?
喪中とは、近親者が亡くなった際に一定期間、死を悼んで生活を慎む期間のことを指します。この期間は「服喪」とも呼ばれ、故人の冥福を祈り、明るく華やかな行事やお祝いごとを控えることが慣習となっています。
特に日本の社会では、喪中にある人が結婚式などのお祝い事に参加したり、大規模なイベントに関与したりすることはマナー違反とされます。喪中における礼儀としては、静かに過ごし、周囲の人々に配慮することが重要です。
喪中時の年賀状マナー
新年の挨拶として送られる年賀状は、基本的にはお祝い事の一環と見なされます。したがって、喪中の間は年賀状の送受信を控えるのが一般的なマナーです。
喪中の人は「喪中はがき」を送り、「故人の死を悼むため、年賀状を控えさせていただきます」という意思を事前に知らせることが通例です。
この喪中はがきは、11月下旬から12月初旬にかけて送られることが多く、受け取った側はその相手に対して年賀状を送るのを控えるのがマナーです。しかし、もし知らずに年賀状を送ってしまった場合でも、特に失礼とされることはありません。ただし、喪中の相手には配慮のある対応を心がけることが大切です。
会社が喪中の場合の年賀状
個人の喪中に関しては前述の通りですが、会社自体が「喪中」になることはあるのでしょうか?
結論として、「会社の喪中」という概念は存在しません。
喪中はあくまで個人に関することであり、会社という組織が喪中になることはありません。
たとえば、会社の代表や重役が亡くなった場合、その人の親族や近親者が喪中に入ることはありますが、会社全体が喪中とみなされるわけではありません。したがって、会社として年賀状を送ることに問題はなく、通常通り取引先に年賀状を送ることができます。
同族経営や家族経営の場合
ただし、同族経営や家族経営の会社では例外が存在します。家族が中心となって運営されている企業の場合、代表者が亡くなると会社全体が喪中とみなされることがあるからです。この場合、会社全体が故人を悼む期間に入り、年賀状の送受信を控えることが一般的なマナーとなる場合があります。
同族経営の会社から「喪中はがき」を受け取った場合は、その会社に対して年賀状を送らないようにするのが適切です。このようなケースでは、喪中の会社に対して年賀状を出すことは礼儀に反するため注意が必要です。
喪中はがきを受け取った場合の対応
もし取引先や顧客から喪中はがきを受け取った場合、その会社や個人に年賀状を送るのは控えましょう。喪中はがきが届いたということは、その方や会社が喪中であることを知らせているということです。年賀状の代わりに、「寒中見舞い」という形で新年の挨拶を送ることが一般的です。
寒中見舞いは、1月7日以降に送る挨拶状であり、喪中の方に対して配慮を示しつつも、新年の挨拶を欠かさずに行うことができる方法です。
喪中時のお歳暮やお中元
年賀状と同じように、喪中の期間に贈り物をする場合にも配慮が必要です。
まず、基本的にお歳暮やお中元を喪中に贈ることは問題ありません。お歳暮やお中元は「感謝の気持ちを伝える」ものであり、お祝いごとには該当しないからです。
ただし、注意すべき点として「忌中」と呼ばれる期間には贈り物を控えることがマナーです。忌中とは、故人が亡くなってから四十九日までの期間を指し、この間は喪中よりも厳格なマナーが求められます。忌中に贈り物をするのは不適切とされているため、四十九日が明けてからお歳暮を贈るようにしましょう。
また、贈り物の包装にも配慮が必要です。通常、お歳暮やお中元は紅白の水引が使われますが、喪中の場合はこれを避け、白無地の包装紙を使用することが推奨されています。贈り物を購入する際に、店員に喪中用であることを伝えれば、適切な包装を用意してもらえます。
まとめ
喪中のビジネスマナーとして、まず覚えておきたいのは「会社に喪中はない」という点です。ただし、同族経営の場合は例外として、会社全体が喪中になることがあります。喪中はがきを受け取った場合には、年賀状を控えるのが適切な対応です。
また、喪中の相手には年賀状の代わりに寒中見舞いを送ることで、新年の挨拶を失礼なく行うことができます。お歳暮やお中元に関しても、忌中や包装に注意して贈るようにしましょう。
喪中時のマナーを理解し、ビジネスシーンでの信頼を守りましょうね。
挨拶状ドットコム 寒中見舞いはがき