剣道の試合や錬成会で、「他校の生徒が審判をしているけれど、判定に納得がいかない……」「判定に不満があって態度に出してしまう人も多いけど、これってどうなの?」と思ったことはありませんか?
こういった経験は多くの剣道愛好者が抱いている悩みです。正式な大会では大人が審判をすることが多いものの、錬成会や部活の試合では生徒同士が審判を務めることが一般的です。これが時にはトラブルの原因になることも……。
生徒同士で審判をするとどのような問題が生まれるのでしょうか?また、どのようにして正しい審判を目指せるのでしょうか?
剣道のルールをしっかり理解し、誰もが信頼できる審判になれるためのポイントをご紹介します。
生徒同士の審判で起こりがちな問題とは?
錬成会や試合で生徒同士が審判をすると、判定に納得がいかず、不満の声や態度に出してしまうことがしばしばあります。
「自分のチームが不利な判定をされた」「判定が曖昧で納得できない」と感じる場面があると、つい態度に出してしまいがちですよね。このようなトラブルを避け、正しい審判をするためには何が必要でしょうか?
信頼される審判になるために、ルールをしっかり理解しよう!
審判を行う際に必要なのは、剣道のルールと基本的な試合の流れを理解することです。ルールをしっかりと理解すれば、的確な判断ができるようになり、審判としても自信を持って試合に臨めるようになります。ルールをしっかり覚え、一本の見極めができるようになると、先生方からも評価をいただけるようになります。
剣道のルールの基本についてわかりやすく解説
試合場の規定
試合場は、通常9~11メートルの正方形で構成されます。試合場の中心には「×」印が記され、50cmの開始線が左右均等に配置されています。この試合場の準備は、試合当日の朝早くに審判の先生方や係員の生徒、保護者によって行われています。
選手として試合に出場する際は、こうした方々への感謝を忘れないようにしましょう。
試合時間とルール
試合時間は5分が基準となり、延長時間は3分が一般的です。
基本的には3本勝負で、試合時間内に2本を先取した方が勝利。1本取ったまま試合が終了した場合でも、その1本で勝敗が決まります。なお、小学生から大学生以上まで、学年により試合時間が異なる場合もあります。
有効打突の条件
有効打突とは、正しい姿勢で気合を込め、竹刀の正しい部分で相手の打突部位を打つことです。
このとき、残心(打突後の余裕を保つこと)がしっかりと表れていることが求められます。打突部位は面・小手・胴・突きの4箇所で、剣道の技術が正確に反映された打突が求められます。
禁止事項
試合中の禁止事項としては、不正行為や相手への礼儀を欠く言動が挙げられます。また、特定の用具を用いる、相手に足をかける、場外に押し出す行為なども禁止されています。
こうした行動をとらないことも、正しい剣道の精神に基づく大切なルールです。
審判の役割
審判は「審判長」「審判主任」「審判員」という役割に分かれています。審判員は、主審1名と副審2名が配置され、試合の公平性を保つ役割を果たします。審判の判断に対する異議の申し立ては原則としてできませんが、監督は試合終了までに審判主任や審判長に申し出ることが可能です。
ルールを理解し、正しい審判技術を身につけよう!
剣道は規律や礼儀を重んじる武道であり、審判としても正しい知識と態度が求められます。全日本剣道連盟が定める「剣道試合・審判規則及び細則」には、細かいルールが数多く記載されています。すべてを覚えることは難しいですが、基本的なポイントをしっかり押さえておきましょう。
剣道のルールは、競技を制限するものというより、正しい剣道を実現するための指針です。
審判としても選手としても、剣道の精神をしっかりと理解し、皆が気持ちよく試合に臨める環境を整えていくことが大切です。
「全日本剣道連盟 試合審判・規則細則」や「剣道試合・審判・運営要領の手引き」などの資料を参考にしながら、より深く学んでいきましょう!
剣道の試合で誰もが気持ちよく競技に参加できるように、ルールの理解を深め、自信を持って審判を務められるよう目指していきましょう。
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